整形外科とは
整形外科とは、姿勢および運動器の病理と治療学です。運動器とは、座る、立つ、歩くなどの身体運動に関わる骨、関節、筋肉、の総称です。それらを支配する脳や脊髄などの神経系も重要ですが、整形外科では脊髄から末梢の神経が治療の対象です。身体のかなり広い範囲を診ますが、単に例えば股関節、膝関節や腰、肩などといった体の一部分だけを診るのではなく、運動器全体の機能改善を目指す治療を行います。
エコー検査で病状を確認します
当院では、捻挫や靭帯損傷、骨軟部腫瘍などの疑いがある場合は、超音波診断装置(エコー)を用いて検査を行います。同装置であれば、単純X線画像(レントゲン)が不得手とする、靭帯や筋肉、あるいは腱といった箇所の状態を確認することができます。従来五十肩や捻挫など、レントゲンを繰り返し撮っても診療上大した意味がない様々な疾患・外傷で、「骨には問題ない」で済まされるようなことが多くありました。しかしエコーの器械が進歩し整形外科領域でも駆使されるようになって、より明確に病状を把握し、患者さんと共有できる機会が増えました。またレントゲンで検知しづらい小さな骨折(肋骨骨折など)もエコーで検知できることがあります。エコー検査は整形外科の診療内容を充実させるための強力な武器なのです。
交通事故や労災でのけがもご相談ください
当院の整形外科では、肩こり、腰痛、膝痛、手足のしびれ、坐骨神経痛など、日常的によく起こると言われる身体の痛みや違和感に対する診療をはじめ、骨折、脱臼、打撲、すり傷・切り傷、やけどなどの外傷にも可能な限り対応します。このほかにも、交通事故による怪我やむち打ち症、労災事故での怪我などもお気軽にご相談ください。
整形外科「かかりつけ医」として
地域にお住い・お勤めの皆様にとっての整形外科「かかりつけ医」として、患者さんの信頼にお応えできますよう努めてまいりますので、些細なことでも遠慮することなくご相談ください。親身になって初期診療(プライマリ・ケア)を行い、より専門的な治療が必要となる場合には連携する適切な医療機関に紹介させていただきます。
このような症状があるときはご相談ください
- 肩や首が凝る
- 腕が上がらない
- 首、肩、腕、肘、手などが痛む
- 腰、股関節、膝、足、背中などが痛む
- ぎっくり腰を起こした
- むち打ち症になった
- 手や足などが痺れる
- 手指がこわばる
- 指を伸ばす時に引っ掛かる
- 突き指をした
- 捻挫、骨折、打撲、脱臼をした
- 切り傷、すり傷、やけどなどの怪我をした など
よく見られる症状 | 考えられる主な疾患 |
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首の痛み、肩のこり | 頸椎症、寝違え、むち打ち症、頸椎症性神経根症、頸椎椎間板ヘルニア、頸肩腕症候群 |
肩の痛み | 五十(四十)肩(肩関節周囲炎)、肩腱板損傷 |
腰の痛み | 腰痛、ぎっくり腰、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰部脊柱管狭窄症、胸・腰椎圧迫骨折、腰椎分離・すべり症、坐骨神経痛、骨粗しょう症 |
足の痛み | 足底筋膜炎、扁平足、アキレス腱断裂、有痛性外脛骨 |
足指の痛み | 外反母趾、巻き爪(陥入爪)、痛風 |
肘の痛み | 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)肘内障、変形性肘関節症、離断性骨軟骨炎(野球肘) |
膝の痛み | 変形性膝関節症、靭帯損傷、半月板損傷、オスグッド病(小児)、関節水腫、関節ねずみ(関節内遊離体) |
すねの痛み | シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎) |
手・手首の痛み | 関節リウマチ、腱鞘炎、手指変形性関節症 |
指の痛み | ばね指、突き指、デュピュイトラン拘縮、ヘバーデン結節 |
ももの付け根の痛み | 変形性股関節症、単純性股関節炎 |
手・腕の痺れ | 頸椎椎間板ヘルニア、手根管症候群、肘部管症候群 |
足・脚の痺れ | 腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症 慢性閉塞性動脈硬化症(ASO) |
痛みの治療も行います
当院では、痛みの症状を対象に主に「ブロック注射」などを用いて、「痛み」をやわらげることを目的とした治療にも取り組みます。「痛み」は身体に起こった異常を警告するための反応であり、それ自体はとても大切な身体反応です。しかし原因が明確になった後の痛みは、長く存続すると、自律神経のバランスが崩れ、交感神経の緊張が過度に強くなり、随所で血液の循環が悪くなるなど、痛みの悪循環が形づくられることがあります。このような悪循環を断つためにも当院では以下のような治療法により、患者様がお悩みの痛みを和らげたいと考えています。
※より専門的なブロック治療が必要と診断される場合にはペインクリニックをご紹介いたします
エコーガイド下でのブロック注射
当院で行うブロック注射は、超音波診断装置(エコー)を用います。レントゲンでは描出できない神経、およびその周囲の血管、骨、筋肉などの組織をリアルタイムに描出するエコー画像で逐一確認しながら行います。そのため、血管や注射針の動きをエコーガイド下に、モニターで確認しながら適切な刺入ポイントに正確に薬液を注入することができます。そのため安全性はもちろんですが、高い効果が期待できます。この方法であれば、手技に伴う患者様の痛みは少なくて済みますし、局所麻酔薬の血管誤注入も防ぐことができます。またX線透視と違って、被曝の心配がないのも利点です。(エコーガイド下ブロックはすべての部位に対して行えるわけではありません。一度ご相談ください。)
エコーガイド下で、末梢神経に薬剤を注入し、神経機能を一時的に停止させる末梢神経ブロック注射、筋膜に生理食塩水を注入して痛みを改善する筋膜リリース注射などを行います。
トリガーポイント注射
以前はトリガーポイント=筋硬結(しこり)と理解されてきましたが、現在では「過敏化した侵害受容器」とされており、筋膜のみならず腱・靭帯・骨膜などにも存在すると言われています。そして、その部分に生理食塩水や局所麻酔剤を注射するのがトリガーポイント注射です。特に筋膜に注目したものを「筋膜性疼痛症候群(MPS)」といいますが、MPSでは肩や背中、腰のなどの痛みだけでなくしびれ、眩暈、倦怠感、動悸など内科的な症状を示すことがあります。また患者さんが自覚している症状の多くはトリガーポイントによる関連痛(放散する痛み)で、自覚症状のある部位自体に問題があるとは限りません。
慎重にトリガーポイントを見極めなければなりませんが、きちんと見定めてエコーガイド下に注射を行うことで、痛みを除去する効果が期待できます。肩こりや腰痛などで辛い思いをなさっている方は、トリガーポイント注射を試されてみてはいかがでしょうか。