関節リウマチ（Reumatoid Arthritis : RA）とは、関節滑膜を炎症の主座とする全身性の慢性炎症性疾患です。関節を構成する滑膜に炎症が生じて進行性の関節破壊をきたします。病原菌などの外敵を攻撃して身体を守るために存在する免疫機能が障害され、自分自身の身体を攻撃（自己免疫応答）し、関節炎が生じます。
その結果として著しい生活の質（quarity of life : QOL）の低下やさらには肺合併症や動脈硬化性合併症により生命予後をも悪化させる難治性の病態です。発症には遺伝的な背景があり、その他の環境因子としては性ホルモンや喫煙、ウィルス感染などが注目されています。

我が国の罹患者数は70～80万人と言われていますが、RAの発症率や有病率に関する情報は十分に把握されていません。後発年齢は30～50歳代で、男女比は1：3～4とされています。しかし、60歳を超えてから、あるいは高校生以下の若い年齢層にも発症するケースも少なからずみられます。

初期症状は関節炎による関節痛、関節腫脹ですが、朝のこわばりや全身倦怠感や微熱、体重減少といった全身症状で始まる場合もあります。関節炎は数週間の間に慢性に始まることが多いのですが、一部では急性関節炎として突然発症する場合があります。これらの症状に心当たりがありましたら、一度RAの診断を受けられることをお勧めします。問診をはじめ、理学所見、血液生化学検査やX線検査などの結果を照らし合わせて、定められた診断基準に則って診断されます。

治療については、薬物治療が主体となります。RAと診断されたら第一選択役としてメトトレキサート（methotrexate : MTX ）を開始し、一定期間の間隔でRAの活動性をみながら、ほかの抗リウマチ薬の追加や生物学的製剤の追加を行っていきます。寛解（かんかい：病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽くなる、または見かけ上無くなった状態）を目標に治療を行います。
なお、薬物治療に頼りすぎて関節を動かさないでいると、関節が硬くこわばってしまうので、無理のない範囲で関節を動かしていくことも重要です。リハビリは毎日繰り返し、長期にわたって行いますと、関節の機能障害を抑え、また痛みも和らいでいきます。
薬物治療やリハビリを行っても症状が緩和しない場合や、関節障害のために歩行が困難になるなど、日常生活に支障をきたす場合には症状に応じて手術治療が行われます。
手術治療はもちろん、薬物治療も投薬による副作用など一定のリスクも伴います。当院では必要に応じて、より専門的な対応が可能な連携施設に紹介をさせていただきます。