ロコモラボ | 宝塚市中山寺の整形外科 しばたに整形外科クリニック | 整形外科 リハビリテーション科

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ロコモラボ

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第19回 骨粗鬆症治療薬と歯科治療

しばたに整形外科クリニックの柴谷です。こんにちは。
未曾有の高齢化社会化を迎え、わが国で問題になってきている疾患の一つに「骨粗鬆症」があります。当院でもガイドラインに則った形で骨塩定量検査を行い、さらに血液検査で骨代謝マーカーを測定して出来るだけ患者さんに合った薬剤を選択して治療に当たらせていただいています。
骨粗鬆症治療薬の代表選手とも言えるのは「ビスホスホネート製剤(以下BP)」です。もっともよく使用される薬剤ですが、注意すべき点の一つに「BP関連性顎骨壊死(以下BRONJ)」というものがあります。BPは、ざっくり言いますと、亢進してしまった骨吸収作用を抑制することで骨の「無駄遣い」を抑えて骨量を増やすのですが、この骨吸収抑制作用や血管新生抑制作用によってBRONJが引き起こされるとされています。具体的には歯科で「抜歯」などの骨を損傷する治療を受けたことがきっかけとなってBRONJが発生するとのことです。他にも危険因子はありまして、ステロイド治療を受けている、糖尿病、喫煙、飲酒、口腔衛生不良、化学療法などが挙げられています。発症率はオーストラリアでの報告ではBP投与例全体で0.01~0.04%、BP投与中の抜歯施行例で0.09~0.34%となっています。またBP投与後3年を超えるとBRONJのリスクが上昇すると言われています。
ではBP使用中に歯科治療の必要性が出てきたらどう考えたらよいでしょうか。ワーキンググループによるとBP投与3年未満で上記の危険因子がある場合は治療3ヶ月前からの休薬が必要とされていますが、3年未満で危険因子が該当しない場合は休薬の必要はないとされています。
まだBP投与中の歯科治療の危険性については議論の余地はあるようですが、歯科で休薬をするよう指示された場合には、一度処方している医師にもご相談いただきたいと思います。

第18回 『巻き肩・・・?』

しばたに整形外科クリニックの柴谷です。こんにちは。
肩こりや首こりを訴えて整形外科を受診される患者さんは少なくありません。首肩は頭を支え、両腕をぶら下げている部位です。頭も腕も結構な重さです。常に支えぶら下げていたら疲れてくるのは当然です。疲れにくくするためには、無駄無理のない配置、つまり「良い姿勢」が必要です。巻き肩、とは背中の横軸が曲がってしまった状態です。

ちなみに猫背は縦軸が曲がった状態です。
なんにせよ良い姿勢とは言えませんね。

巻き肩の姿勢では肩の前方にある「小胸筋(胸板の筋肉である大胸筋の奥にある筋肉)」などが縮んで硬くなり、背中側では肩甲骨が開きっぱなしになり、動きが制限されてしまっています。

 

肩甲骨の動きが悪くなると、僧帽筋などの背中や肩の筋肉の動きが悪くなります。また頭が体軸よりも前に出てくるので、首の付け根に大きな負荷がかかるようになります。すると筋肉が絶えず緊張するようになり、痛みが出てきます。要するに肩こり、首こりです。巻き肩は見た目も良くないです。元気のなさそうな少々陰気臭い雰囲気になってしまいます。とにかくろくなことはありません。

 

セルフチェックしてみましょう。足幅を肩幅で立ち、そのままバンザイしてできるだけ腕を高く挙げます。腕が耳の前で止まるようであれば、巻き肩です。改善するためのストレッチをご紹介します。

其の壱:指を鎖骨に当てて、肘を耳の高さで円を描く。前回り、後ろ回り両方行います。

其の弐:両手でタオルを持ってピンと張り、頭の後ろへ下ろしていきます。

さあやってみましょう。簡単です。結構気持ちいいですよ。

第17回 『足底板:足装具あれこれ』

しばたに整形外科クリニックの柴谷です。こんにちは。
足や足首の痛みを訴えて来院される患者さんは少なくありません。ぶつけたとか、くじいたとか、そういういうキッカケが無いにも関わらず痛みに悩まされる、そういう場合に問題になってくるのが外反母趾だったり開張足だったり扁平足だったり、そういう足の形の問題だったりします。

足は第1,5趾の付け根の部分と踵の3点でバランスよく体重を受け止めます。この3点を結ぶ三角形を支えるように足の骨(足根骨)はアーチを形成して配列しています。京セラドームの屋根みたいな感じですか。このアーチが柔軟に荷重負荷を受け止めることで人は文字通り地に足つけて立っていられるのです。

このアーチが崩れてくると開張足(ペンギンの足みたいに平べったい足)や扁平足(土踏まずが無い足)になります。足のサスペンションが損なわれた状態になるわけですから足自体に痛みが出たり、足首に負担をかけたり、ひいては膝や腰にも影響を及ぼすことになります。人はダルマ落としの積み木のように骨が積み上がって体が構成されています。土台がしっかりしなければ上物が不安定になるのはお分かりいただけるでしょう。

そこで足を支持して症状を緩和し、ひいては足の形状そのものを直すべく使用するのが足装具です。

アーチサポートやランゲ型(縦横アーチの支持)、メタタルザルサポート(横アーチの支持)、外反母趾装具、その他様々な足装具があります。これらは義肢装具士の資格を持つ者が患者さんの足を直に型取りして作成します。当院では毎週月曜日17時から予約制で義肢装具士が対応しています。

第16回 『変形性股関節症と人工股関節置換術』

しばたに整形外科クリニックの柴谷です。こんにちは。
院長、一応勤務医時代は股関節を専門分野として人工股関節置換術(THA)を積極的に行っておりました。にも関わらずまだ一切触れておりませんでした。

今回は変形性股関節症と人工股関節置換術のお話です。
変形性股関節症(Osteoarthritis:OA)は日常生活動作を障害する下肢の慢性疾患の一つです。股関節は人体の中でも最大の、しかもいろんな方向に動かせる「多軸性関節」です。脚の付け根にあると言えばお分りいただけますでしょうか。

股関節は大きな荷重に耐え、しかも可動性が高いという下肢の運動において重要なパーツです。ここがうまく作動しないと膝や腰にも悪影響が出てきます。うまく動かなくなる理由の一つがOAです。
OAは関節軟骨が加齢に伴って劣化して弾力性を失い、さらに磨耗することで大きな負荷が吸収しきれなくなり、骨が傷み、関節の形が変わってしまうことでさらに変性、摩耗が進行するという疾患です。

進行すると痛くて歩くこともままならなくなり、着衣動作や爪切りなどが自分でできなくなるという日常生活動作の障害(ADL障害)を生じます。ひいては生活の質(quarity of life: QOL)の低下を招きます。平たく言えば「生きていくのが辛い」ということになるわけです。

手術中

それに対する治療は、鎮痛剤や運動療法などのリハビリ、装具治療などの保存治療、保存治療では持たなくなった場合に行う手術治療があります。手術治療の中でも最終手段とも考えられる切り札的な術式がTHAです。
切開して股関節を展開し、痛んだ関節を切除してチタン合金のカップ(骨盤側のパーツ)とステム(大腿骨側のパーツ)そして軟骨の代わりをする強化プラスチックやセラミックなどで置き換えます。

切開して股関節に到達する方法、進入経路はいろいろあります。汎用性が高い術式、より熟練が必要となるが侵襲が少なく患者さんの体にかかる負担が抑えられる術式(minimum invasive surgery: MIS)など患者さんの状態に合わせて様々な選択肢があります。術後半年以上たてば状態は大差無くなります。術式の違いは術後早期の違いと言っても良いかもしれません。

手術後は理学療法士の指導に従ってリハビリを行い、しっかり歩けるように訓練を行います。私もかつて色々な患者さんから異口同音に「もっと早く決断すればよかった」「歩くときの痛みや不安がなくなった」と喜ばれました。
安易に手術治療を選択することは避けなければなりませんが、適切な時期に行えば、THAは股関節の痛みで歩行障害を抱えている患者さんに福音をもたらすものであります。

THA術後

第15回 『スネの痛み:シンスプリント』

しばたに整形外科クリニックの柴谷です。こんにちは。
クリニックを受診されるスポーツを頑張る中高生の患者さんで、比較的多いのが「スネの痛み」です。そんなに腫れているわけじゃない。赤くもなってない。普段はどうということはないけど、運動するとスネの先1/3くらいが痛い。「シンスプリント」と呼ばれるオーバーユース障害です。
スポーツの種目にもよりますが、スポーツ障害に関する疫学調査では下肢帯の発生頻度が高いようです。発症要因はジャンプやダッシュによるオーバーユースです。根本的な原因が足の機能低下や股関節などほかの関節機能低下に起因する場合もあります。
シンスプリントはMTSS ( medial tibial stress syndrome )と表記される事が多い脛骨内側後面遠位1/3から中央1/3に痛みを生じる障害です。筋腱の牽引ストレスによる骨膜炎であるとするものと脛骨への曲げ応力などの過負荷によるものの2つの理論があります。後者が有力視されていますがまだ結論は出ていません。リスク要因としては扁平足や回内足などによる足部機能低下や股関節の回旋機能異常が報告されています。
扁平足などの足部アライメント異常ですが、ただ目視やレントゲンで測定したアライメント評価(静的アライメント)だけでなく、動きの中でのアライメント(動的アライメント)が重要です。これが結構難しいし診察室では事実上無理なのですが…。タオルギャザーなどの足部内在筋(起こりと終わりが足の中にある筋)トレーニングを耳にする事があります。静的アライメントの改善は残念ながら否定されていますが、内在筋をトレーニングすることによる動的アライメントの補助(動きへの耐性改善)は期待できるので、やはりこれらは積極的に行うのが良いでしょう。また足関節・足の安定性を改善するため、外在筋(脹脛など足の外に起こり足の中に終わる筋)のトレーニングも重要です。
筋腱の牽引が原因とするならば腓腹部の筋柔軟性改善も重要です。足関節の可動域を拡げるようストレッチが必要です。
今回はスポーツ障害で比較的多く遭遇するシンスプリントについて簡単に述べてみました。急性期の治療としては鎮痛剤やシップなどによる消炎鎮痛以外に上述した対処が必要となってきますが、二次的な障害を防ぐために異なる評価や対処も必要となってきます。MTSS、症候群、ですので一口にシンスプリントと言っても色々な要因が関連してきますので治療は存外奥深いものです。

第14回 腰部脊柱管狭窄症!

クリニックを訪れる患者さんで腰痛が主な訴えの患者さんのなかには他院で腰部脊柱管狭窄症だと言われましたとおっしゃる方が結構な割合でおられます。でもそれが一体なんなのか、いまいち消化不良な方が多いようです。今回は腰部脊柱管狭窄症について説明したいと思います。 まず腰部脊柱管狭窄症とは何か。ざっくり申しあげますと、腰椎椎間板や椎間関節の変性を基として、神経の通路である脊柱管や椎間孔が狭くなることで特有の症状を示す症候群です。要するに脊髄神経が通る背骨のトンネルが狭くなって神経が窮屈になっていろいろな症状が出ますよってことです。ですが疾患としての定義には実はまだ完全な合意がなく、様々な意見があります。

腰痛は必ずしも伴わず、時には下肢痛やしびれ感、知覚障害のみという場合もあります。そして最も特徴的な臨床症状は「間欠跛行」です。一定距離歩くと脚が締め付けられるように痛くなって歩けなくなり、前かがみになって休むとすぐ改善してまた歩けるようになるというものです。
診断はもちろん我々整形外科専門医が行うのですが、スクリーニングのためのツールとして診断サポートツールが考案されています。

診断サポートツール
各項目のスコアを合計して7点以上で腰部脊柱管狭窄症を疑います。

画像検査としては単純X線写真(レントゲン)やMRI、ペースメーカーが入っていたり閉所恐怖症などでMRIが使えない場合には脊髄造影や造影後CTなどを行います。 治療としては、薬物療法やリハビリ、装具療法などの保存治療と手術治療があります。鎮痛剤やプロスタグランジン製剤を中心に投薬を行なっていくのですが、残念ながら薬物療法が有効であるという明確な学術的証拠はありません。効く人と効かない人がいるということです。当然と言えば当然なのかもしれませんが。一方で腰臀部痛や下肢痛に対して理学療法や運動療法の組み合わせは有効であるとされています。やはり身体を適度に動かすというのは重要な事なのです。ただし痛みの改善は期待できるとされている一方でしびれや間欠跛行に対しては明確な効果は確認されていません。なんにせよ保存治療を行なっても良くなる人とそうでない人がいるということですが、保存治療で良くならない場合には手術治療が必要となります。

以上腰部脊柱管狭窄症について説明させていただきました。腰臀部痛や下肢痛、しびれ感でお悩みの方は一度ご相談ください。

第13回 新技・ハイドロリリース!

しばたに整形外科クリニックの柴谷です。こんにちは。
今回はハイドロリリース(液性剥離)についてご紹介します。これは生理食塩水などの薬効のない液体を用いて神経剥離を行い、様々な痛みやしびれを治そうという手技です。 最近筋膜リリースという言葉をよく聞きます。理学療法士のみならず、近頃は整骨院やその他の医療類似行為を行う方達が口にしますが、徐々に言葉だけが一人歩きし、「筋膜リリースダイエット」などの荒唐無稽なものも出てきています。確かに非常に上手な施術士がマッサージなどを行えば炎症を繰り返して癒着を生じた筋膜をほぐす事も出来るでしょうし動きが改善する事も考えられますが、それだけではなかなか取れない痛みがあります。それは神経痛です。

実は神経を束ねている膜と筋膜は同じ構造をしています。部位によって多少の特性に違いはありますが、骨関節の動きに合わせて筋肉や神経、血管がなめらかに動かけるように、この膜組織は一定の滑動性を持っています。この膜組織が炎症で硬くなると滑らかさを失い、神経も自由な動きが取れなくなり、機会的ストレスによって痛みを発するようになります。神経を取り巻く膜組織が「乾いて」滑らなくなり、神経が動きについていけなくなるというわけです。

ハイドロリリースは、この炎症で硬くなってしまった膜に生理食塩水などの液体を用いて滑動性を取り戻す手技です。乾いてしまった植木鉢の土に水をやるようなものだとお考え下さい。いわゆる筋膜リリースとは全く異なる手技です。

当院では、もう何例か肩後方の痛みで後ろ手にまわせない、投球動作ができないなどの症状や、内股の痛みで開排運動(股を開く動作)ができない、踏ん張れないなどの症状に実施して、あっけない症状の変化による「狐につままれたような顔」をいくつも生み出しています。皆さん、「あれ?あれ?」と言って診察室を出ていかれます。院長がドヤ顔になる瞬間です(笑)。 いずれは頸部神経根に対する治療も行っていこうと考えています。もちろん全ての症状に有効とは言えませんが、超音波診断装置を使ったエコーガイド下のハイドロリリースは奥深い可能性を秘めています。今後の超音波診断装置を応用した治療にご期待ください。

第12回 ピラティスって知ってる?

唐突ですが、ピラティスってご存知でしょうか。なんかヨガみたいな雰囲気のエクササイズ?とか体幹トレーニングの一つ?とか女性の美容体操?とかいろんな意見を耳にしますが、実は本質は理学療法と言えるエクササイズです。

ピラティスとは、ドイツ人のJoseph H. Pilates氏が負傷して帰還したドイツ兵をリカバリーさせて社会復帰させようとして考案した、“Contrology”、これはcontrol(制御)と-logy(学問)を合わせて作ったJ. Pilates氏による造語ですが、という名の健康法が始まりです。当時はまだリハビリテーション医学の概念がなく、トレーニングで失った身体機能を取り戻すという発想は画期的だったと思います。エクササイズにはJ. Pilates氏が開発したキャデラック、リフォーマー、バレルなどの専用器具を用います。これらの器具は非常によく出来ていて、正確な体の動きを引き出すよう様々な工夫が凝らされています。私もこれらのお世話になりますが、使うたびに欲しくなります(笑)。Contrologyでは身体、心、そして精神の完全な調和を目指し、エクササイズを正確に繰り返すことで意識下レベルの自然なリズムと調和を習得するとしています。これは聞きかじっただけの話ですが、本来マンツーマンで行うエクササイズを一度に複数の人を対象にして行えるようハタヨガなどの要素を取り入れて発展したのが現代のピラティスであるとのことです。このいわゆるグループレッスンもとても刺激になるのですが、器具を用いた個人レッスンは体の動きが劇的に変わるのでレッスン終了後がとても楽しみなくらいです。

日本ではまだまだ浸透していませんが、欧米では多くの医療機関やトレーニング機関ですでにリハビリテーション法、トレーニング法として確立しているようです。
私も空手で腰を痛めて困っていたときにピラティスを知り、もうかれこれ5年は続けているのですが、今でも新しい気づきがあり、武術だけでなく日々の診療における引き出しの一つとしても活用させてもらっています。

 今回は私がハマっているエクササイズ、ピラティスをご紹介させていただきました。興味がおありの方はスタジオを検索して見学に行ってみてください。ピラティスは美意識の高い女性のためだけのものじゃあないんですよ。

キャデラック
キャデラック
リフォーマー
リフォーマー
バレル
バレル

第11回 『中高齢者の筋力トレーニング』

しばたに整形外科クリニックの柴谷です。こんにちは。
前回は「有酸素運動」についてお話ししました。今回は筋力トレーニングについてのお話です 50歳を超えると筋肉量が低下してきます。筋肉の量が低下すると当然筋力も低下します。筋肉量の低下と筋力の低下が進むと運動能力が低下する「サルコペニア」になります。そこから疲労しやすくなり、ぼんやりして集中力がかける状態になると「フレイル」という状態になります。フレイルとは自立して生活できる能力がある状態と要介護状態の間にあたります。
高齢者であっても筋力や筋肉量を増やすためには持久性の運動(有酸素運動)では不十分です。自重もしくはおもりを用いた筋力トレーニングが必要です。
運動強度の目安として、ボルグスケールというものがあります。

ボルグスケール

有酸素運動は11,12くらい。筋力トレーニングは15~17くらいで行いますが、高齢者は13くらいでいいでしょう。頑張りすぎると痛みが出たりします。 正確なフォームで、ゆっくりと、呼吸を止めずに行います。連日同じ筋肉をトレーニングせず、しっかり休ませましょう。 トレーニングを始めるにあたり、生活習慣病がある人は必ず医師の診察を受けるようにしましょう。また息を止めて力むような運動は避けた方が安全でしょう。ウォーミングアップやクールダウンを行い、体に急激な負荷がかからないよう「慣らし運転」をすることも重要です。極端に暑いもしくは寒い状況での運動を避け、食事2時間以内、飲酒後も避けた方がいいです。
筋肉を鍛えることは、出力を維持して運動器機能を保つだけでなく、基礎代謝をあげることで生活習慣病の予防にも繋がります。億劫がらずに筋トレを始めてはいかがでしょう。

中高齢者の筋力トレーニング

第10回 『中高齢者にもスポーツや運動は必要です』

しばたに整形外科クリニックの柴谷です。こんにちは。
わが国は少子化に伴って高齢化が進んでいるのは皆さんご存知の事と思います。若いひとに頼っているばかりでは立ち行かぬ時代になりつつあるのです。頼らないようにするにはどうすれば良いのでしょう。
人は1年に1歳ずつ年を取ります。この暦年齢は全ての人に平等ですが、実際の体力年齢は個人差があります。体力年齢を決める要因には日常生活における活動状態が影響してきます。日頃運動を続けていると心肺機能、筋力が増して同年代の人に比べても体力が維持されますが、運動をしなければ廃用が進んで暦年齢よりも老けた状態になります。運動は体力だけでなく脳機能低下予防にも効果があると報告されています。
ではどのような運動がいいのでしょう。まずは有酸素運動です。酸素を利用して脂肪を燃焼させるというのが有酸素運動です。大筋群を使って全身運動で、呼吸を行いながら、リズミカルに行う、ものです。さらに高齢者には負荷量の強弱が少ない定常運動で、マイペースにできるといったものが良いでしょう。ウォーキングやジョギング、水泳などがその代表です。
効果を出すためには運動強度と運動時間も考えておく必要があります。運動強度が強すぎると関節が痛くなったり腰が痛くなったり、かえって良くないことが起きるかもしれません。ちょっとめんどくさいですが、運動時に心拍数を測ってみましょう。運動時の心拍数 ≦ {(最大心拍数-安静時心拍数)×0.5}+安静時心拍数を目安にしてもらうと、脂肪が燃えてちょうどいい感じの運動強度になります。そう、脂肪を燃やすにはガンガン動けばいいと言うわけではないのです。お友達と話をしながら運動するのでちょうど良いのです。
運動時間は30~60分くらいで良いと言われていますが、続けられなければ10分くらいで休んで2,3回行うのでもいいでしょう。毎日が無理なら週3回くらい頑張りましょう。
有酸素運動は健康増進に大きな効果があります。個人個人の生活条件に合った運動を選び、楽しく続けることが重要です。

中高齢者にもスポーツや運動は必要です

第9回 『足の痛み』

しばたに整形外科クリニックの柴谷です。こんにちは。 主に10~15歳の方で、スポーツによる急激な負荷や足の捻挫を契機に、足の内側の痛みを訴えて来院される患者さんがおられます。痛みがある部位は骨がポコっと飛び出していて腫れているように見えます。靴がこすれて圧迫し、赤くなっている事もあります。こういう場合の「ポコっと飛びだしている骨」を外脛骨と言います。痛みを生じた場合に外脛骨障害、有痛性外脛骨などと呼びます。

Veitchの分類

外脛骨はいわゆる「過剰骨」もしくは「種子骨」の一種です。発生頻度は15%程度といわれています。外脛骨のうち何らかの症状を呈するものは10~30%程度といわれています。図に示しますように、Veitchの分類というものがありまして、なんらかの症状があるものの多くはtype 2です。他のtypeに比べて中途半端にくっ付いているから余計に痛いという感じです。治療は局所安静で軽快したり成長と共に自然治癒する事が多いので保存治療が原則ですが、半年経っても症状がとれない場合には手術治療を考える場合もあります。
保存治療の内容は、スポーツの一時中止や運動制限、パッドの使用やシューズの交換による外脛骨部の除圧が基本です。消炎鎮痛剤の使用やステロイドの局所注射を行う場合もあります。インソールの作成や2、3週間のギプス固定といった治療法が選択される場合もあります。

ちなみになぜ舟状骨の外にしれっと存在する骨が外“脛骨”と呼ばれるのでしょう。それは発生(受精卵から成長していく過程)で足の骨が腓骨(向こう脛の外側にある細い骨)由来であるのに対して、この外脛骨は脛骨(向こう脛)由来だからなんだそうです。脛骨の外にある脛骨だから外脛骨なんですね。

第8回 『大腿骨の骨折と骨粗鬆症治療薬』

しばたに整形外科クリニックの柴谷です。こんにちは。
骨粗鬆症になると骨の劣化が進み、様々な部位に骨折を生じる原因となります。そのなかでも、大腿骨近位部骨折(太腿付け根の骨折)は一度受傷すると急激に身体機能が衰え、生命予後も不良(要するに寝たきりになりやすくて、死にいたる可能性も高い)なので骨粗鬆症の最悪の転機(オチ)と言えます。

また、わが国では様々な骨粗鬆症治療薬が使われ始めているにもかかわらず、大腿骨近位部骨折は年々増加していると言われています。ガイドラインで大腿骨近位部骨折抑制効果について「骨折を抑制するというエビデンスがある」と評価されているのはビスホスホネート(BP)とデノスマブ(Dmab)のみです。BPは起床時に服用して、二度寝しない、30分から1時間は食事しないというルールがある薬剤です。週1回製材や月1回製材などのバリエーションもあります。Dmabは半年に1度皮下注射で投与されます。低カルシウム血症の副作用を防ぐため、カルシウム製剤を併用します。

ある報告ではBPに比較してDmabがより骨密度改善効果が強く、さらにその薬理機序から骨強度の改善も期待できるとされており、今後骨粗鬆症治療において、骨折予防という観点からもDmabが主流になるのではとされています。

しかし患者さんの病状によっては必ずしもDmabが最善とは限りません。きちんと骨塩定量検査や骨代謝マーカーの値、その他総合的に勘案して薬剤を選んでいく必要があります。

第7回 『骨粗鬆(しょう)症』

しばたに整形外科クリニックの院長、柴谷です。こんにちは。
骨粗鬆症という疾患をご存知でしょうか。歳をとって骨がもろくなり、折れやすくなる病気です。もっと学術的に言うと「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義されています。2016年の国民生活基礎調査によると、高齢者が要介護になる原因の4位が骨折・転倒(12.1%)となっています。つまりは高齢者の生活の質(QOL)の維持増進や健康寿命の延伸、医療費の低減のためには骨折の原因疾患である骨粗鬆症の予防は非常に重要であると言えます。
骨粗鬆症の有病者数(40歳以上)は腰椎で診断した場合には約640万人(男性80万人、女性560万人)、大腿骨頸部(付け根)で診断した場合には約1070万人(男性260万人、女性810万人)と推計されています。腰椎、大腿骨いずれかで骨粗鬆症と診断されたものを有病とすると、患者数は1280万人(男性300万人、女性980万人)となっています。
これが思いのほか多いと感じるか少ないと感じるかよくわからないかは人それぞれですが、これから高齢化が進むわが国ではさらに増えていくことは間違いありません。
少し話が反れますが、サルコペニアと言って、筋肉量の低下を主体とし、握力や歩行速度の低下など機能的低下をきたす概念があります。力がなくなって動きにくくなる、ロコモティブシンドロームを進行させる要因の一つです。調査から骨粗鬆症の存在がサルコペニアの発生に強く影響していることが明らかになっています。このことから、骨粗鬆症への取り組みは死ぬまで歩ける身体を維持するために必要なことだということがお分かりいただけると思います。
今後もう少し骨粗鬆症のお話が続きます。お付き合いください。
当院では日本骨粗鬆症学会で推奨される方法で骨密度を測定できる器械を装備しています。ぜひ一度測定にお越しください。

第6回 『八光流柔術師範教伝!』

しばたに整形外科クリニックの院長、柴谷です。こんにちは。
いきなり方向性が変わりますが、今回は「八光流柔術」について書いてみたいと思います。

八光流柔術とは

八光流柔術とは、古武術の伝統を踏まえ近代的に進歩させた、競技スポーツ武道とも一線を画す護身と自己完成、自他共栄の道を説くものであり、初代宗家奥山龍峰によって完成された日本武芸です。「挑まず、逆らわず、傷つけず」という理念をもとに老若男女問わず習得できる護身武道です。

私はもともと大学生のころから直接打撃制の空手を学んでおりましたが、ほかの種類の武術にも興味があったため、仕事の合間に習えるものはないかと探した結果、八光流柔術にたどり着きました。たしか入門を申し出たのは2008年ごろではなかったかと思います。一時休会していた時期もありますが、その期間込みで10年は経過しています。早いものです。

クリニックを開設するまでに頑張って四段準師範まで昇段していたのですが、そこまでは黒帯、一般技。そこから先の紫帯、師範技を教わりたくて、5/3,4,5と埼玉は大宮の八光流本部道場に行き、師範教伝を受けてきました。

師範教伝

宗家自らが手を取り、師範技を教えてくださり、そのあと皆伝師範、師範の先輩方に相手をしていただいて修得していきます。道場の荘厳な雰囲気、緊張感、新しい技を知る喜びと技を受けることによる痛みが混ざった独特の重みをもつ時間が流れていました。最後に5/5、午後から師範式が催され、神事ののちに演武を行い、師範位を許可されます。

宗家・師匠と
同期の桜
師範許可

そして宗家から師範帯をいただき、晴れて私も八光流柔術の師範になりました。八光流を「習う」者から「修める」者に立場が変わります。これからは弟子をとってもいいそうです。まだ弟子をとれるほど深く修練していませんのでとれませんが。とにかくそれだけの自覚をもって稽古しなさいよということです。
帰阪してさっそく翌日に道場に出向き、稽古に参加しました。師匠の計らいで後半1時間は私が稽古を仕切る形をとらせていただき、指導に当たらせていただきました。

指導

稽古を受けるだけではない、また違った趣の緊張感でがっくり疲れましたが、充実感もまた違いました。これからも医業の傍ら、八光流柔術の修練にも励んでいきたいと思います。

第5回 『ロコトレ:スクワットでありがちな間違い! vol.3』

しばたに整形外科クリニックの院長、柴谷です。こんにちは。
前回、「2.膝の角度」についてご紹介しました。今回は「3.お尻の位置」ついてご説明します。

3.お尻の位置

トレーニングの経験がない方(患者さんの多くはそうなのですが)にスクワットをやってもらうと、ほとんどの方は体幹を立てたまま膝だけ曲げる動きをされます。お尻の位置が垂直に落ちるだけと言い換えてもいいかもしれません。 そういうトレーニングもないわけではありませんが、スクワットとしては間違いです。「お尻が垂直に落ちるだけ」のスクワット、結果的に膝だけが前に出ていく形になります、は大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)には刺激が入りますが、大腿四頭筋だけに負荷がかかるため膝蓋大腿関節(お皿の裏側の関節です)が強く圧迫されてしまい、膝の痛みを発生させる原因になってしまいます。

正しいスクワットはお尻を後ろに突き出していくように膝を曲げていく、まるでそこに椅子があって、その椅子に座ろうとしているみたいに腰を下ろしていくという動作です。相撲取りが四股を踏む際に両手を膝に当てて腰を落とす瞬間がありますが、まさにあの要領です。「スクワットではお尻を後ろに突き出す」、というのが3つ目のポイントとなります。

以上、3回に分けてスクワットの要領をご案内しましたが、文字で説明するとわかりにくいと感じる方も多いと思います。だから診察室でスクワットの指導をする際には患者さんの年齢や症状に合わせてイメージで理解していただけるよう心がけています。
患者さんによっていろいろ例え方を変えていますが、以上3つの要点は必ず外さないようにしています。

第4回 『ロコトレ:スクワットでありがちな間違い! vol.2』

しばたに整形外科クリニックの院長、柴谷です。こんにちは。
前回、「1.足の幅(スタンス)」についてご紹介しました。今回は「2.膝の角度」ついてご説明します。

2.膝の角度

膝の角度というと、まず曲げる角度を連想されるかと思います。通常は太ももが水平になる深さまで落とすと指導されますが、当院では「曲げれるだけ落とす」と説明します。それはなぜかと申しますと、変形性膝関節症などで元々可動域が制限されている、脚力が弱くてあまり落とせない、などの条件を前提にしているからです。太ももを水平にできればいいのですがいきなり無理強いしても危ないだけです。太ももを水平になるまで落とすスクワットは「フル・スクワット」といいます。当院では「フル・スクワット」ではなく、途中まで落とすだけのいわゆる「パーシャル・スクワット」を指導させていただいています。
次に膝の向く角度についてです。これは「つま先と同じ向き」です。お皿(=膝蓋骨)がつま先のほうに向いているように維持しながら腰を落としていきます。そうしなければ、深く曲げた時に膝の中で捻じれが生じてしまい、痛みの原因になります。

この間違いは特に女性に多い傾向があります。女性は股を閉じる癖がついています。行儀作法としては正しいのですが、スクワットは正しく行うと股をがばっと開けている格好になります。ですので、当院ではスクワットだけは「男っぽく」行ってくださいとお伝えしています。

第3回 『ロコトレ:スクワットでありがちな間違い! vol.1』

しばたに整形外科クリニックの院長、柴谷です。こんにちは。
前回、「スクワット」についてご紹介しました。今回はスクワットを行う上での注意点についてご紹介します。スクワットで気を付けなければならないポイントをもう一度おさらいします。それは・・・

  • 足の幅
  • 膝の角度
  • お尻の位置

です。

1.足の幅(スタンス)

一般的には「肩幅くらい」と言われます。鍛えたい筋肉によって多少スタンスは変わりますが、私は肩幅よりももう少し広めがいいと考えています。なぜならば、患者さんに「肩幅で立ってみて」というと大抵スタンスが“狭い”のです。ですから肩幅より広く立ってとお伝えしています。

ではなぜ狭いと良くないのでしょうか。いや良くないわけではないのです。ただ狭いと大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)に刺激は入りやすいですが、殿筋やハムストリング(太ももの裏側の筋肉)に刺激が入りにくくてもったいないのです。そして、大腿四頭筋にばかり刺激が入っていると膝蓋骨(いわゆる“お皿”)と大腿骨の間の関節に負荷がかかりすぎて膝が痛くなることがあります。

スクワットは本来、下半身をまんべんなく鍛えられるトレーニングです。時間と体力が有り余っている人ならいろいろ手を変え品を変えトレーニングすればいいのですが、「ロコモ」の方たちは、時間はともかく体力は弱い傾向があります。だから、どうせなら効率のいいスクワットで一気に片づけてしまいたいという魂胆です。それに殿筋を鍛えれば体幹を立てる力も付きます。ということは姿勢もよくできるかもしれませんね?

というわけでクリニックで指導しているスクワットのデフォルトは、スタンス肩幅よりちょい広め、ということにしています。

第2回 『ロコトレ:スクワットはトレーニングのテッパン!』

しばたに整形外科クリニックの院長、柴谷です。こんにちは。
前回、「ロコモ」についてご紹介しました。今回はロコモ対策の運動についてご紹介します。
ロコモとは「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」です。ということは移動機能の改善こそがロコモ対策ということになりますね。要するに足腰をどれだけしっかりさせるか、ということです。もちろん足腰の衰えの程度は人によります。ラジオ体操やフラ、太極拳など様々なエクササイズが考えられますが、手軽に取り組めるものとして「ロコモチャレンジ」という日整会公認公式ホームページで「ロコトレ」という運動メニューが紹介されています。

片脚立ちとスクワットの二本立てです。お手軽ですね。バランスメニューで片脚1分ずつ3セット。スクワットも5,6回ずつ3セット。全部几帳面に頑張ってもせいぜい10分くらいです。暇つぶしにもなりませんね。これで健康寿命が延びるならありがたいことです。ぜひやりましょう!

ところがですね、このスクワット。これをやったがために膝が痛くなった、腰が痛くなったと時々患者さんから相談を受けることがあります。で、どのようにやっていたのか実演していただきましたら、だいたい問題点が共通しています。

  • 足の幅
  • 膝の角度
  • お尻の位置

です。

どういうことかな?と興味を持たれた方は次回をお楽しみに。話せば長くなるので区切ってご説明していきます。

第1回 『ロコモとは?』

はじめに

しばたに整形外科クリニックの院長、柴谷です。こんにちは。
ロコモラボ、ロコモを考えるラボと言えば少し大仰ですが、要するに運動器にまつわるお話を思いついたままにあれこれ発信していこうかなという趣旨です。お付き合いください。

ロコモとは?

そもそもロコモって何ですか、ということですが、これは「ロコモティブシンドローム」という運動器の機能が低下して介護が必要となるリスクがある状態のこと、要するに足腰が弱ってきている状態のことを指す概念の略語です。ちなみにラボはラボラトリー、実験室、研究所という意味です。

ロコモになるには身体にどういったことが起こっているのでしょう。大まかに述べますと「運動器自体の疾患」と、「加齢による運動器機能不全」です。骨粗鬆症や変形性関節症、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの疾患と加齢に伴う筋力低下やバランス能力の低下などです。どれも非常に困った問題です。これらは年齢を重ねると誰しもこの問題が生じてきます。

昔、日本人の平均寿命は敦盛ではないですが約50年でした。足腰が弱る前に何らかの原因で亡くなっていたわけです。しかし戦後の医学の進歩や社会の発展によって平均寿命が延びてきました。様々な疾患が克服され、人の寿命が延びると社会の高齢化が進み、足腰が弱って日常生活で不便を生じるといった問題が大きくなってきました。でも皆が一様に弱っていくわけではなく、寝たきりになってしまう人もいればエベレストに登ってしまう人もいたりで、個人差があることも事実です。この差はいったい何でしょうか。

歳をとることは避けられません。しかし少なくとも年齢なりの衰えはあってもトレーニングで衰えの進行が抑えられる要素はあります。ロコトレなどに代表される筋力訓練、バランス訓練などがそれです。ある意味「アンチエイジング」の取り組みともいえます。 次回からは体操を中心に少し掘り下げてみたいと思います。